膝痛とは
膝痛は、膝の怪我や加齢によって、膝の軟骨や骨の破壊が進んだ状態と言われてます。膝痛のほとんどが変形性膝関節症になりますが、他にも疾患はいくつか挙げられます。
膝痛の5つの原因とは?
①肥満・体重増加
膝の痛みを生じさせる最も多い原因の一つに「肥満」が挙げられます。膝は全身の体重を支え、動作の度に体重の何倍もの力が膝にかかりますから、体重が重ければ重いほど、膝への負担が大きいということになるようです。ですから、肥満傾向のある人は、そうでない人に比べて膝関節が変形する確率が約4倍になると言われています。また、肥満によって膝関節が変形し膝に痛みが出始めると、運動や日常の活動が減少し、筋肉が弱りさらに肥満になりやすくなるという悪循環が起こります。肥満を測る基準としてよく使用されるのがBMIという指標で、体重kg÷身長m÷身長mの値が、25以上になると肥満と評価されます。
②筋肉の衰え
膝の痛みの原因に、大腿四頭筋(前モモ)とハムストリングス(後モモ)の筋力低下が関係します。これらの筋肉は膝関節にかかる負担を軽減する働きをしているため、これらの筋肉が衰えると膝関節への負担が大きくなり、膝の変形が起こり、それにより痛みが生じるようです。このような大腿四頭筋やハムストリングスの筋力低下は主に40代から始まると言われています。しかし、膝の骨を支えている関節軟骨の老化は20代から始まっていると言われ、筋力低下によって膝関節への負担に拍車がかかるようです。
③O脚・X脚の影響
膝の痛みを生じさせる原因として「膝関節の変形」が指摘されています。この膝関節の変形の原因で多いのは、O脚とX脚です。特に、足の筋肉や靭帯の走行に特徴があり、O脚になりやすいと言われています。O脚というのは、左右の踵をつけて立った時に、膝と膝との間が左右に離れてしまう状態のことを指すようです。O脚で歩いたり走ったるすると、膝の内側の関節軟骨(骨と骨との間にあり、クッションの働きをする)に負担がかかることで軟骨がすり減り、それが原因で骨と骨とがこすれ合うことで痛みが生じるため、注意が必要かも知れません。このように関節の変形によって骨に痛みが生じる場合、朝の膝関節のこわばり感→膝を動かし始める時の痛み→歩いている時のギシギシとした痛み→膝を曲げる動作での痛み、というように徐々に痛みの程度が強くなっていくと言われています。
④スポーツによる膝の酷使
バレーボール、バスケットボールのようなジャンプ競技や、柔道、サッカー、ラグビーなどのコンタクトスポーツなどは、膝に負担がかかりやすいと言われています。スポ―ツでは、ターン、ジャンプによる踏み込みや着地、カッティング(急な方向転)をする、などの動作により膝関節の中の靭帯に負担をかけます。靭帯は膝の安定性を保つための役割を果たしているので、靭帯が負担を受けたままでスポーツを続けると、さらに膝の軟骨や半月板という部分が損傷し、痛みを生じさせることになります。
⑤合わない靴の使用
サイズが合ってない靴、クッション性が無い、足底に偏った負担(ハイヒールなど)など、合わない靴を履くことにより、歩行時に膝に大きな負担をかけてしまいます。靴が合わないと、バランスのとれない不安定な歩き方になってしまい、足の裏の筋肉や靭帯に負担がかかり、偏平足になってしまいます。また、歩行時の体重移動の際に膝関節に負担がかかることで膝痛を生じさせることになります。
膝痛疾患
変形性膝関節症
最も多い膝痛
変形性膝関節症は、筋力の低下が原因で、膝関節のクッションの働きをしている軟骨に傷がつき、膝関節に炎症を起こすと言われています。ですから、筋力が低下し始める40代の方、また、ホルモンバランスが崩れやすい時期の女性に発症するリスクが高いとされています。
変形性膝関節症の初期では、立ったり座ったりする動作に痛みが出はじめ、やがて正座や階段昇降でも痛むようになります。病状が進むと、安静痛や、膝に水がたまり、膝の曲げ伸ばしや歩行が困難になるといった症状が現れます。
半月板損傷
半月板は、膝関節の中の内側と外側に位置する軟骨で、体重を支えるクッションとして働き、関節の位置を安定させる役割があると言われています。ですから、半月板を損傷すると、体重をかけた時に強い痛みを感じます。また、膝がずれるような感じや、何かが引っかかるような感覚が生じます。
半月板損傷が起こる原因として多いのは、スポーツによる膝の外傷と言われていますが、生まれつき半月板の形に特徴がある場合や、加齢によって半月板が変性してしまうということもあります。
靭帯損傷
膝の靭帯には、前十字靱帯・後十字靭帯・外側側副靭帯・内側側副靭帯と4本あり、膝靭帯損傷の原因は、スポーツなどで膝に強い衝撃が加わったり、あらぬ方向に外力が加わることにより起こります。靭帯が損傷するとその部分に炎症が起こり、腫れや痛み発赤などが生じ歩行困難になります。
膝の靭帯の中でも前十字靱帯は「膝の目」とも呼ばれ、膝関節の位置や移動を認識する運動の感覚を助ける働きがあります。よって、前十字靱帯の損傷が起こると、膝関節の感覚が鈍くなり膝の動きも不安定になります。
関節リウマチ
関節リウマチは、その病名の通り、肩関節や鎖骨、肘関節、手関節、膝関節、足関節、股関節などが自己の免疫(体を異物から守ろうとする機能)によって炎症を起こす病気と言われています。関節リウマチの主な症状には、関節の腫脹、こわばり、微熱、脱力感などがあるようです。
関節リウマチは珍しい病気ではなく、人口の約1割に発生し、30-50代の女性に多いようです。はっきりした原因は不明のようですが、遺伝的な要素が強いとも言われているようです。激しい運動もしていないのに、膝の痛みが長く続く場合には、病院で一度診てもらうといいかもしれません。
オスグッド・シュラッテル病
オズグッドシュラッテル病というのは、10歳以降の男児に多く発生し、成長痛やスポーツ膝とも呼ばれているようです。オズグッドシュラッテル病の原因となっているのは、成長期の未熟な膝の軟骨を酷使することで、筋肉の成長と骨の成長のアンバランスを起こし、脛骨の結節の剥離や炎症が起こります。
オズグッドシュラッテル病の症状として、個人によって症状に差がありますが、運動時痛、歩行時痛、正座ができない、腫れなどが起こります。